デジタル社会の醜聞

テクノロジーと社会の十字路

物事をクリアにする事が良いとは限らない -カタルーニャ独立問題-

白黒はっきりさせる」が美徳として語られることが多い日本ですが、実はそういうケースばかりではないです。

 

最近では、スペインのカタルーニャ州議会が独立を求めており、話題にあがっています。スペインの現状がアップデートされていない方は、軽く以下の記事を読んでみてください。

www.bbc.com

 

唐突ですが、独立というのは戦争と切り離せません。どういうことか、それぞれの立場から見てみましょう。

 

 

独立を求めるカタルーニャ州側。

カタルーニャ州は、スペイン全体のGDPの2割を占める場所で、裕福な人たちが住む地域です。スペインのGDPが1.232 trillion USDであることからみても、小さい額でないことがわかります。つまり、他の16の自治州に自分たちの儲けを流さなければならない立場です。本当はスペインの中の一部だからグローバル企業のヘッドクォーターがおかれてたり単純ではない事情がありますが、自分たちの財布からの流出は止めたいと思うのが人情です。

2006年にカタルーニャ自治憲章が制定されたあと、州政府と中央政府の関係が徐々に動いていったので、安易な流れではないですが、この度はついに過半数をとってしまいました。

 

次はスペイン側。

国土面積が減るというのは中央政府としては大きなマイナスです。独立したいと思う人々が住む場所というのは一般的に裕福ですから、領土を失うだけでなく経済に強烈な打撃となります。上述したようにGDPの2割を占めるカタルーニャ州であれば、なおさら、みすみす逃がすわけがありません。

 

独立投票をして過半数をとった。独立したい。しかし中央政府は認めない。

 

スコットランドのように自治権の拡大を求めるように賢く交渉したりもできますが、今回の場合、カタルーニャ州議会側はその気がないようです。そうなると、一般的には州兵や独立側の傘下にある軍隊を使って「邪魔するなら戦争だ」となるはずなのですが・・・・。

 

カタルーニャ州は州兵や軍を保持していません。

 

そのため、中央政府側は警察や軍隊をがんがん投入して制圧したり、自治権をばっさり剥奪することが出来てしまいます。こうなっちゃうと独立投票とか関係ないですね。民主主義とは何なのかよくわかりません。

 

今回の独立は失敗となり、中央政府に制圧されてしまうでしょう。

 

まだ決まったわけではありませんが、かなり厳しいのは確かです。自治権取り上げて、カタルーニャ州独立の主導者層を引っこ抜く。もしカタルーニャ州自治権が取り上げられてしまえば、再度独立運動の火がつくには数年~十数年の充電期間が必要。また階段をのぼり直しです。

 

私が問題だと考えるのは、州兵を備える時間を待たずして独立に走ったことです。

 

独立運動は継続して続いていたわけですが、「独立過半数!!」と白黒つけてしまったら、もう元の鞘には収まりません。上述したように、権限という意味での力量差は圧倒的ですから、中央政府側がなりふり構わず押さえつけようとしたら、止められません。

 

 

独立投票で過半数を取り、白黒つけるには時期尚早だった。

暴挙に走らず、犠牲者を増やさないことを祈っています。